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トップページ » 眼の健康情報 » 白内障と手術

白内障と手術(手術する側の立場から)-さめしま眼科 鮫島 基泰-

 白内障は高齢化の進む現在、目の病気の中で頻度の高いものです。 白内障の手術は近年大変進歩し、より安全な手術となり、視力回復も早くなりました。 又同時に挿入される眼内レンズにより多くの患者さんは質のよい視力を回復し、社会復帰を果たされています。 白内障そしてその手術とはどのようなものか日本眼科医会のHPに詳しく載っていますので、ご参照下さい。

 ところで“白内障手術は短時間の手術である”=“簡単な手術である”と捉えている方が多くいらっしゃいます。 白内障手術はここ20~30年ほどで劇的に進化しました。 以前は水晶体全摘出術が行われ、大きな傷口から水晶体を丸ごと摘出していました (今でもごくまれですが、場合によっては適応となる方がいらっしゃいます)。 その後、嚢外摘出術+眼内レンズ挿入術が取り入れられ、 最近は超音波摘出術+眼内レンズ挿入術が多くの施設で行われるようになってまいりました。 手術顕微鏡や手術器械や器具の進歩、そして手術手技の進歩のおかげで、傷口が小さく、 短時間の手術が可能となり、術後炎症も軽くなったことから早期の視力回復が可能となっています。 これらは器械や技術の向上の賜物であり、 それに伴う術者の日々の鍛錬や手術を介助する看護師さん達パラメディカルの教育も必要不可欠の要素であります。 手術時間だけ見て“簡単な手術である”とは言えないのです。 そして白内障手術は今後も益々発展し、様々な工夫がされていくことが予想されます。

 白内障手術には多くのステップがあります。 ここでは一般的な「超音波摘出術+眼内レンズ挿入術」について、 手術をする側の立場からの視線で見つめてみます。
 まず術前の全身合併症の把握は手術中の事故防止には欠かせません(抗凝固剤の使用等)。 眼の合併症や白内障の状態の把握(後述)、そして将来の見え方を決める眼内レンズの度数の決定は、 誤差が無いように神経を使います。 その後、手術日程を決め白内障手術に臨むこととなります。
 超音波白内障手術の場合、そのステップとしては麻酔後

  1. 眼球表面の切開
  2. 前嚢切除
  3. 水晶体核の超音波破砕+吸引
  4. 水晶体皮質の吸引+水晶体嚢の研磨
  5. 眼内レンズの挿入
  6. 切開創がしっかり閉じていることの確認
等があります。これらの工程がすべて術者の意図したとおりにいき、 患者さんが見え方に満足された場合、「手術がうまくいった」と言えます。 ただその後もしばらくは術後感染症が発症しないかどうか経過観察が必要です。 手術の一つ一つのステップは術後の視機能を決定する最大の要因です。 もし一つでもそのステップが狂った場合、修正できる場合は修正する。 出来ない場合、将来眼の機能が一番良く発揮できる状態にする必要があります。 その場合、手術時間は1時間、もしくはそれ以上かかることもあります。 一定のゴールに達するまで手術を終わることは出来ないからです。
 人間はそれぞれ個性がありますが、白内障にも個性があります。 そして白内障の状態により、手術の難易度は大きく変わります。 散瞳の悪い方、チン氏帯(水晶体を吊っている紐)が弱い方、白内障が進みすぎ、 核の非常に硬い方等枚挙にいとまがありません。 又角膜が濁っている場合、術者は術野の確認が困難で手探り状態で細かい手術をしなくてはなりません。
 このような難治例の白内障手術はゆっくり、着実に手術をすることが求められます。 本来、手術には“スローで確実”が求められてしかるべきだと考えます。 そのほか手術中は頭や眼を不意に動かさない等、患者さん側の協力も必要です。
 患者さんは自分の大切な眼の手術を術者に委ねられるわけですが、 白内障の術者は自分の技量と経験を駆使して手術がより安全になるよう工夫し 「必ず手術を成功させよう」という意気込みで個々の症例に立ち向かっています。
 以上、白内障手術についてご理解の一助になりましたら幸いです。

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TEL.099-254-8124 / FAX.099-254-8163
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